ざっくりあらすじ~ネタバレなし~
マンハッタンにある高級レストランで料理長を務める、完璧主義の主人公のケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、姉を交通事故で亡くし、姪のゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)と暮らすことになります。一方で、職場にはケイトと正反対の陽気な副料理長のニック(アーロン・エッカート)がやって来て・・・・
テキパキと指示を出し厨房をまわす姿や、プロ意識の高さが細かく描かれており、キャリアウーマンに憧れた当時中学生の私にとっては、かっこいい働く女性像が詰まった作品でした。
また、『幸せのレシピ』とタイトルの通り、仕事と恋と家庭のさじ加減に悩む女性が失敗しながらも味見をしつつ、いい塩梅を見つけていく作品でもあります。
無料で見る方法は。
古めの作品ですが、、、こちらに配信がありました!!
おススメの見方~ネタバレを含む~
- 1回目見るならば、ストーリーを楽しんで。
当たり前のような事で恐縮ですが、その日その時の自分の状況によって心に響くものが違います。どんな言葉やシーンが胸を熱くするのか、是非何も考えずにふらりと観て欲しいのです。
私がこの作品を何度もリピートしている理由の一つが、時間や場所を選ばずに観ることができる作品だからです。これは意外と重要なポイントで、作品によっては一気に観てしまいたいものや、一人で静かに観たいものなどがあると思います。しかし、この作品は流し見しても楽しめるし、途中で止めておいて続きから観ても楽しめます。少しラブシーンはありますが、子供達が見てはいけないほどのシーンはなく、パートナーと観るのも友達同士で観るのも選ばない作品です。そして、一人で見ると怖くなったり、寂しくなったり、誰かと感想を言い合いたい衝動に駆られたりもしない、いつでも気分やタイミングを選ばずに観れます。
- 2回目見るならば、以降ネタバレ有り♡主人公の恋に注目
恋をすると女性は一層魅力的になりますよね。ケイトを狙う男性は2人居ます。同じアパートの下の階に住むショーンは、とても良心的で優しく、何かとケイトに手を貸してくれます。穏やかで子育ての経験もある頼れる男性が近くにいて、誠実にデートに誘っていますが、なびかないケイト。この鉄壁のハートに火をつけるのが副料理長としてやてきたニックです。まさに火種がつく瞬間が、描写として描かれているシーンもあります。その火種がじわじわと大きく燃え上がっていく展開は、女子の大好物な甘さもSっ気もほど良く含まれたニックのテクニックがギュッと詰まっていて、ときめいてしまうこと間違いなしです。
ニックの策略の中でまんまと転がされて、最初は苛立ちを見せるケイトですが、徐々にハマっていく姿は恋がめんどくさくなった女性にこそ見て欲しいです!恋の始め方を見失っていたり、付き合い始めが曖昧になる大人達こそニックのスマートな告白と、ケイトの素直になることで生まれる大人のキュートさをじっくりチェックしてください!
女性陣はセクシーな大人の男性の色気にドキドキしながら2回目を楽しんでみてください。そして、女性に上手に火をつける方法が描かれていますので世の片思い中の男性陣もじっくりテクニックを観察してみてはどうでしょうか??
- 3回目見るならば、ゾーイとケイトの関係性からみる子供との信頼の築き方
子供と関わりのなかった生活環境から、突然姪っ子のゾーイを引き取って育てることになったケイトは、ゾーイとの関わり方に悩みます。これまでと同じ料理人としての生活スタイルでは、お互いにとって良い暮らしが出来ず、時間も食事も全てが思い通りにはいきません。もしかしたら、本当の子育てでも一番歯痒くなるポイントなのかもしれないですね。ゾーイもお母さんを亡くし心を痛めている中で、敏感にケイトの様子を受け取っています。「そんなつもりはない」けど、そう受け取ってしまうことのコミュニケーションエラーが大人よりも起きてしまうのかもしれません。ケイトはそのエラーを見つけては、向き合い改善し、寄り添っていくのです。親子ではなく、無理に親子になろうともしないけれど、お互いに信頼関係を築いていく姿は、等身大で子供と向き合ってみようと思わせてくれます。
完璧や正解を求めず、ゾーイにとって良い方法を探る姿は、母にはない発想や思いやりが描かれていて、自分を振り返らせてくれます。特に好きなシーンは、枕戦争です(笑)お母さんとやってみたかったなぁ・・・
- 4回目見るならば、セラピストシーンに注目して
サラッと見るときはそれほど目に留まらないケイトがセラピーを受けているシーンですが、ケイトが変わっていく様子を段階的に楽しめるのがこのシーンだと思います。生活の中で、自分を振り返る時間はそれほど取れませんが、セラピストに話す時間がケイトにとって自分を客観視する唯一の時間のようです。
1度見たら気が付くと思いますが、ケイトはクールに仕事をこなすバリキャリウーマンですが、冷蔵室に入るシーンが何度も出てきます。この冷蔵室、とても面白い役割をしていて、ケイトはこの中で様々な感情をクールダウンさせます。つまり、とっても熱く感情豊かな人で、悲しい時はしゃくりあげて泣くし、怒りはしっかりとぶつけるのです。この感情をよく見つめる時間として、セラピーの時間があります。自分自身が抱えている感情を、言葉に変換し、確認する時間は、ケイトを見ているととても大切なことだと気づかされます。全体で5回出てくるセラピーのシーンでは、ケイトがセラピストの言葉を聞き、受け取れるようにも変化していく姿が描かれています。
そして、5回目のセラピーのシーンではこの映画の核になる言葉が、セラピストから発せられます。ケイトにとってレシピとは、書かれている通りに作れば必ず成功するマニュアルの様なもので、人生のレシピとは、必ず成功へ導き、次に起こることが見通せるものを指しているなら、、、
セラピストの言葉は見ている私たちにも気づきを与えてくれます♡
- 5回目見るならば、出てくる料理が示すサインを感じてみて
これはもう、完全に個人的すぎるポイントなのですが、コース料理に準えたように料理がピックアップされます。出てくる料理はどれも食べてみたくなる料理ばかりですが、物語の前菜、メイン、ドルチェへと進みコースから外れていきます。
特に有名シーンは、甘いものが苦手なケイトが美味しそうに食べるティラミスのシーンです。ティラミスといえば、コーヒーとリキュールの大人な苦みと生クリームとチーズのこってりした甘さが特徴ですが、まさにそんな苦みと濃厚な甘さたっぷりの大人の恋の時間を描くお供に出てくるのです。ちなみにこのシーンで魅せるニックの大人の余裕に、年上にクラクラくるお年頃の時は、キュンキュンしまくりました!!
そして最後はパンケーキ。パンケーキは幸せの象徴なのでしょうか?おなかいっぱいになる幸せ、甘いものを頬張る幸せ、誰かとシェアできる幸せが描かれ幕を閉じます。
前菜として出てくるホタテのサフランソース添えから、パンケーキまでのケイト自身の心が変化している様子として観てみると、味や香りを想像しながらケイト自身の変化と重ねて楽しむことが出来るのもこの作品ならではの魅力だと思います。
最後に
人を変えられるのは、仕事でもカウンセリングを受けることでもなく、人なのだと感じさせられます。そして、その「人」というのは年上だったり賢かったり、自分より優れている人だけではなく、縁あって自分と関わることになった「すべての人」なのだと思います。
この『幸せのレシピ』が描く、料理をするように味見をしたり、失敗するたびに加減を覚えながら人生を歩む主人公の姿は、キャリアを積むほどに固く臆病になる大人へ向けた、幸せを受け取るための柔軟に生きるお手本(レシピBOOK)のようで、何度も何度も見返してしまうこと間違いなしです!
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