2019年に公開されたアメリカ合衆国の、第二次大戦下のドイツが舞台の“コメディ映画“。
タイカ・ワイティティが本作の監督とヒトラー役を兼任する。
第44回トロント国際映画祭で観客賞を受賞、アメリカの賞では脚本家組合の脚色賞、衣装デザイナー組合賞 (時代劇映画部門) を受賞している。
批評家からは、「不謹慎なユーモアと真面目なアイデアの融合は、間違いなくどんな人からも好かれるようなものではない」と批判的な評価が下る一方、「だが、この反ヘイト風刺劇は、度が過ぎていると言ってよいほど大胆である」と、いわゆる賛否両論で評価されている。
ざっくりあらすじ
第二次世界大戦中、孤独な少年“ジョジョ”は周囲から虐められていた。少年ジョジョは空想の友人“アドルフ・ヒトラー”の助け舟で立派な兵士になろうと奮闘していた。そんなある日、ジョジョは母親と暮らす家にユダヤ人の“エルサ”が匿われていることに気づきジョジョの政治的考えが変わりヒトラーのナショナリズムに向き合っていくのだが…
見どころ
第二次世界大戦、ドイツ・ナチスが舞台だが、戦時下における様々な人々の温かい優しさや愛が見どころ。ローマン・グリフィン・デイヴィス演じる主人公ジョジョとタイカ・ワイティティ演じる空想の友人・ヒトラーとのクレイジーかつユーモアたっぷりな掛け合いや、スカーレット・ヨハンソン演じるジョジョの明るく強い母親が見事にコメディと胸が熱くさせられる愛情劇と化す。
『ジョジョ・ラビット』出演キャスト
ヨハネス・ジョジョ・ベッツラー 演 ローマン・グリフィン・デイヴィス -Roman Griffin Davis–
本作の主人公。10歳のナチス教徒。エルサと出会い政治的観念が変わる。
アドルフ・ヒトラー 演 タイカ・ワイティティ -Taika Waititi–
ジョジョの空想の友達。とても陽気な性格でジョジョを励まし応援する。
エルサ・コール 演 トーマサイン・マッケンジー -Thomasin McKenzie–
ジョジョの家に匿われていたユダヤ人の少女。
ロージー・ベッツラー 演 スカーレット・ヨハンソン -Scarlett Johansson–
ジョジョの母親。気が強く、とても優しい愛に溢れた母。
クレンツェンドルフ大尉 演 サム・ロックウェル -Sam Rockwell–
戦場で片目を失った為前線に出れず、少年兵士の育成役を任された軍人。通称“キャプテン・K”。
ヨーキー 演 アーチー・イェーツ -Archie Yates–
ジョジョの親友。
フロイライン・ラーム 演 レベル・ウィルソン -Rebel Wilson–
クレンツェンドルフ大尉と共に、少年兵士の育成に奮闘する女教官。
フィンケル 演 アルフィー・アレン -Alfie Allen–
クレンツェンドルフ大尉の部下。
ディエルツ 演 スティーブン・マーチャント -Stephen Merchant–
ゲシュタポのディエルツ大尉。
ストーリー ※ネタバレあり※
ここからがっつりネタバレします!!
~観たくない方はスルーしてください~
↓ ↓ ↓
10歳の少年“ジョジョ”はとても緊張していた。青少年集団ヒトラーユーゲントの合宿に参加するからだ。
気の弱いジョジョは周囲から「弱虫」と虐められていた。
空想上の友達、アドルフに「僕にはムリかも」と弱音を吐くジョジョ。
すると、「お前はひ弱で人気もない。だが、ナチスへの忠誠心はピカイチだ」と励まされ気を取り直す。
いざ、合宿に行くジョジョ。そこには、戦傷で片目を失い前線に立てなく青年の育成を任されたクレンツェンドルフ大尉と教官のミス・ラームが待っていた。
彼らの教育はとてもハードなもので、初日の訓練でヘトヘトになってしまったジョジョ。
そんな彼は唯一の気の合う“実在する友達“ヨーキーとテントで語り合い眠りにつく。
ところが二日目の訓練で、「ウサギの首をへし折り殺せ」とゆう命令にどうしても殺せないジョジョはみんなの目の前でウサギを逃がそうとし、教官に父親と同じ臆病者だとバカにされる。
二年間も音信不通のジョジョの父親をナチス党員たちは脱走したと思っていた。
その上、『ジョジョ・ラビット』という不名誉なあだ名をつけられてしまう。
ジョジョは逃げ出し、落ち込み泣いているところにアドルフが現れ、「ウサギは勇敢でずる賢く強い」と励まされ勇気を出したジョジョは、手榴弾の投的訓練中のキャプテン・Kの手から颯爽と手榴弾を奪い投げるも、木にぶつかって跳ね返ってきた手榴弾に吹き飛ばされ大怪我を負ってしまう。
病院に運ばれ目を覚ましたジョジョは鏡を見て驚愕する。
顔面に醜い傷が出来てしまったジョジョはショックを受け、傷ついてしまったジョジョ。
そんなジョジョに優しく愉快に愛で包み込む母、ロージー。
後日、クレンツェンドルフ大尉のいる事務所へ行き、「よくも私の可愛い息子にこんな怪我を負わせたわね」と一発蹴りを入れられタジタジの大尉。
怪我をしたジョジョは、張り紙の仕事を任されることになった。
そして街中で一列に並べられ首を吊られ処刑されているユダヤ人や反ナチスの人たちの姿を目の当たりにしてしまう。
目を背けるジョジョだが、「よく見ておきなさい」と母はジョジョの頭を掴む。
そんなある日、ジョジョが一人で家にいると、二階から物音がする。
ジョジョは恐る恐る階段を上り、あたりを見渡すが誰もいない。
ジョジョには数年前に亡くなった姉、“インゲ”がいる。その姉の部屋にあった写真を眺めていると、不審な床の切れ目が視界に入る。
気になったジョジョは、その床の切れ目を辿り、壁が開くことに気づき、壁を開けてみると、なんとそこには見知らぬ少女、“エルサ”が隠れていた。
ビックリしたジョジョは腰を抜かし後ずさりするも、子供が相手だとしても危険だと感じたエルサは「通報してもいいわよ、その代わりアンタとアンタの母親も私を匿った罪で逮捕され殺されるわよ」ジョジョを脅しジョジョの腰に装備していたナイフを奪う。
エルサは何事もなく壁の中に戻っていった…
呆気にとられていると、またしてもアドルフが通報しなければいけない!とアドバイスしてくるが、エルサに言われた言葉がジョジョの胸に重くのしかかり、どうすればいいのか分からずにいた。
その夜、ジョジョの身に起きた出来事を知らない母親といつものように食事をするジョジョ。
何気なしに「二階から物音がし、インゲの幽霊を見た」と母に言ってみるも軽くあしらわれる。
何か感づいているジョジョの気配を感じ取った母ロージーは、ジョジョの母と父の一人二役でジョジョの機嫌を取り笑わせる。
だが、幾度となくアドルフにナチス精神を叩き込まれ、我を取り戻すジョジョ。
翌日、壁の中のエルサのところへ行き、宣戦布告をするジョジョだが、またしてもエルサに負かされる。
そんな時ロージーは、エルサに「息子が物音を聞いたと言っている」「気を付けないとバレてしまう、あなたか息子を選べと言われたら…」「あなたには生きててほしい」と論すロージー。
それから何度もエルサに挑戦しに行っては負かされるジョジョだが、次第にエルサの言葉とエルサの持つ空気感や態度に不思議と政治的考えが変わっていくジョジョ。
エルサには、婚約者がいるらしい。ジョジョはその婚約者のフリをして、「君とは結婚出来ない、別れよう」といった手紙を書きエルサに読み聞かせエルサは深く傷つく。
傷つけてしまった罪悪感から、またしても彼のフリをし、謝罪の手紙を書くジョジョ。
のちにその婚約者が数年前に結核で亡くなっていることを聞かされる。エルサは最後までジョジョの婚約者のフリをした手紙の嘘に付き合ってくれていた。
そんなある日、いつものように街中に張り紙を張っていっていると、武装した親友のヨーキーに出くわす。
ヨーキーは青年集団の中で出世したという。一時は共にナチスの為に戦前に立つことを目標にしていた親友。怪我を負って張り紙をしているジョジョにヨーキーは励まし去っていく…
その時ふと前を見ると、どこかに向かって歩いていく母の後ろ姿が見えた。母は、あたりを気にしながら何かの紙切れを道端にあるテーブルに張って行った。
その紙切れを見てみると、反ナチス集団が活動する、『ドイツに自由を!』と書かれた紙だった。
そう、母の裏の顔は反ナチス集団の一人だったのだ。
驚愕の事実を知ってしまったジョジョは混乱する。
反ナチスのロージーは自分を貫くも、ナチス教徒の息子をしっかりと愛する母はいつものように、陽気に明るく愛に溢れた言葉をジョジョにかけ、いつも上手く靴紐が結べないジョジョの靴の紐を結んでやるフリをし左右の靴紐を一緒に結んで歩けなくさせたりと2人は戯れあった。
エルサと二人きりで過ごしていたある日、いきなり“ゲシュタポ”のディエルツ大尉が家宅捜査にやってきた。
ジョジョは驚き、ユダヤ人を家に匿っていることがバレないかヒヤヒヤして必死に緊張を隠すも固まってしまう。
その時キャプテン・Kことクレンツェンドルフ大尉までもがやってきた。
ディエルツ大尉は二階に上がり、捜索をする。
鋭いディエルツ大尉は、ジョジョの腰にナイフが装備されていないことに気づきどうしたのかと問いただす。
ジョジョが固まって何も言えずにいたその時、「私が持っている」と亡くなった姉の服を着たエルサが立ちはだかった。
とっさに亡くなった姉・インゲのフリをするエルサ、クレンツェンドルフ大尉は身分証を見せろと言い、エルサはインゲが使っていた机の引き出しから身分証を取り出し提示した。
「生年月日は?」と聞くクレンツェンドルフ大尉。エルサは思わず「5月1日」と答えたのだが、インゲの本当の生年月日は“5月7日“だった。
キャプテンKだけは、エルサがインゲでないことに気づくも、ディエルツ大尉達にバレないように合っているふりをしてくれた。
そしてその場は何とか丸く収まりディエルツ大尉達は去っていく。
エルサからユダヤ人の特徴や性格、由来など様々な事を聞いてメモをしていたジョジョ。
ある日、キャプテン・Kに、そのノートを見られてしまうが、ナチスの為に本を書く為ユダヤ人の事を調べていると誤魔化す。
そのノートにはエルサがジョジョを冷やかし嘘をついた、ユダヤ人は悪魔の化身かのような絵や情報が描かれていた為キャプテン・Kことグレンツェンドルフ大尉達に気に入られ頑張って取材を続けなさいとその場をしのげた。
トボトボ歩いていると、ジョジョの頭に何かが当たった。
ぱっと見上げると、そこには見慣れた靴を履いた足があった。
母、ロージーが街中で首を吊られ処刑されていた。
思わず母の足にしがみつき悲しみに暮れるジョジョは、しばらくその場を離れずにいた。
いつも優しく愛に溢れた母。反ナチスの活動をしたが為、こんな目に遭わされ怒りを抑えられずエルサのもとに行くジョジョ。
ジョジョがエルサにナイフを向けるもエルサはいつものようなあどけない表情とは別の表情のジョジョの雰囲気を読み、黙り込む。
そしてジョジョは思いのまま気持ちをぶつけ、またエルサは思いの丈をジョジョに話す。
ジョジョは、エルサに恋心を抱くようになる。
そんなある日、アメリカ軍が押し寄せてきて街中は一変、戦場と化した。
あちこちに砲弾や怒号が飛び交う中、ジョジョは戸惑い右往左往するも、ヨーキーと、同じナチス政党の女官に出くわし、ヒトラーが自殺した事実を知らされる。
そしてその女官は「このジャケットを着なさい、そうすれば仲間に殺されないわ」とナチスのジャケットを殺され倒れている人から奪いジョジョに渡す。
するとどこからともなくキャプテン・Kが部下のフィンケルと共に現れ、最後の戦いと思わさざるを得ない自由で派手な軍服を身にまとい、開放的に敵と戦っている。
どこへ行っても血を流す人々、殺される人たち、飛んでくる銃弾に、思わず身を隠すジョジョ。
しばらくし、落ち着きを放った街中に出てみることに…
あたりを見渡しながら歩いていると、アメリカ軍がアメリカ国旗を掲げ車に乗り自由にドイツの街中を颯爽と走らせていた。
そしていきなりアメリカ軍に腕を掴まれ連行されるジョジョ。
連れていかれたのは、ナチス党が何人も囚われていた場所だった。
怖くてビクビクしていたら、目の前にキャプテン・Kがいた。
キャプテン・Kは優しく、「お母さんのことは聞いたよ、辛かっただろう」と言葉をかけてくれて、「お前の言う、姉さんを守るんだ、家に帰れ」と言い、いきなり大きな声で「このユダヤ人が! さっさと消え失せろ!」とジョジョを突き飛ばし、アメリカ軍から守ってくれた。
その場を離れさせられたジョジョが歩き出すと、後ろから銃声が…。
最後に見せたキャプテン・Kの優しさ、彼は初めから全てを知った上でジョジョとロージーの味方をしてくれ協力してくれていた。
家へ戻り、エルサのもとにいこうとするジョジョ。
すると怒りを露わにしたアドルフが現れ、「ナチスに歯向かうのか!?」と怒られるもジョジョはもう弱虫ではなく、アドルフに歯向かい、「くたばれ!」と蹴りを入れ自分の中からアドルフを突き落とした。
エルサは、外で何が起こったのか、戦争は終わったのか、どっちが勝ったのか…ジョジョに問いただすも、エルサに恋心を抱くジョジョは自由になったエルサに出て行ってほしくない気持ちで、「ドイツが勝った」と嘘をついた。
落胆するエルサをジョジョは、インゲのフリをしていれば大丈夫だからと言わんばかりエルサを外に連れ出す。
すると、街の雰囲気でドイツが負け、ユダヤ人は自由になったことを知るエルサはジョジョの頬にビンタするも、生前自由になったらダンスを踊ると言っていた母の言葉通り二人は体を揺らし踊り、自由になった現実に胸を躍らせる…
独断評価
批評家たちからも賛否両論な評価を受けた本作、決して面白可笑しく語っていいものではないが、子供の視点で描かれているこの物語は、『大人が教えてあげなければ何が正しくて何が正しくないか分からない10歳の子供の視点』だとゆうことを忘れずに観ていただきたい作品です。
舞台が舞台なだけに、アメリカ人が好むような大胆かつ不謹慎なユーモアには100点満点の評価を下すことが出来るものではないが、戦争とゆう二文字が生んだあらゆる出来事や人々の優しさ・愛が、人間として基本的な“何か”を考えさせられる、コメディ映画としては珍しいヒューマンストーリーだと思う。
ユダヤ人の母とマオリの父を持つタイカ・ワイティティ。ヒトラー役を兼任したワイティティ監督はこう語る。
ヒトラー役は「楽しい役ではなかった。あの格好をした自分の姿を見るのはなかなかきつかった」とこぼすも、「うまくやる秘訣は、忠実に演じるようにしないこと。(子供の空想だから)もっと子供っぽく、アマチュアな感じにした。僕はそれがとても得意なんだ」とにやり。もともとは自分で演じるつもりではなかったというが、「今は、これで良かったんだと思う。僕がこの役に求めているのはとてもはっきりしたものだったから、自分にしかできなかったんじゃないかと思う」
「ヒトラーは僕が演じるのを嫌がるだろうから、それはよかった(笑)。それに彼についてのリサーチは一切しなかったんだ」
https://www.cinematoday.jp/news/N0114006
「ドイツの兵士や人々の中にもファシズムに賛同していない人はたくさんいた、ということを、多くの人々は理解していないと僕は思う。この戦争以前に、彼らには普通の暮らしがあったということを知ることは大切だと思うんだ。多くの人々が間違った判断を下し、そこから抜け出せなかった。それに気づいたのは、戦争が終わる時だった。僕はただ、人間は人間だと示したかった。誰も生まれた時から人種差別主義者というわけじゃない。そんなのは野蛮な考えだ。だからこそ、子供たちをどう教育するかということが大事なんだ」
https://www.cinematoday.jp/news/N0114006
極悪卑劣な“ヒトラー”を親しみやすい“友人”として描く衝撃的な本作、ワイティティの思いはリアルな声で誰しもが生まれた時から人種差別主義者というわけじゃないとゆうことを忘れてはならない、胸の奥底に響くものである。
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最後に
いかがでしたか?
今回ご紹介したのはナチス・ドイツといったとてもテーマの深い物語でしたので、観て気分を害された方もいるのかもしれません。
だけど、つたない文章ではありますが、この作品をご紹介できたことに私は深く感謝しています。
今まで知らなかった辛い現実や、どんな時にも人の優しさや温かさは存在するものだとゆうことを本作を通して学ばせてもらいました。
批評家からも賛否両論を受けている本作ですが、私個人的には絶対に観てほしいと思う作品です。
観終わった後は、コメディ映画なのに胸にジーンと熱いものがこみ上げてくる素晴らしい映画でした(^^♪
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