はじめに
今回は、去年公開された劇場版仮面ライダージオウ Over”Quartzer”の感想と共に、ジオウ世界の真実に迫っていきます。
この「仮面ライダージオウ」という作品は、元号が「令和」に変わったことで、クウガから始まり、以降根強い人気を誇った平成ライダーシリーズ最後の作品となりました。
平成ライダー作品最後、ということで平成ライダー10作品目の「仮面ライダーディケイド」よりもお祭り作品度が凄いです(笑)。物語中に過去の平成ライダー作品がどんどん絡み合い、各平成ライダー作品のその後が描かりたりするなど、仮面ライダーファンにとってはたまらない作品となっています。
そして何より仮面ライダージオウの見所は「オリジナルキャスト」でしょう。当時平成ライダー作品に出演してた役者さんが数年越しにその役として再出演するシステムは、仮面ライダーファンだけでなく、当時、見ていたお父さんお母さん方も興奮するものでした。ある程度は次回予告前に公式サイトなどで情報がオープンされていましたが、中には次回予告を見るまで一切情報がないようなものもあり、毎週毎週次回予告をドキドキしながら見ていました。(特に火野映司と剣崎がでてきた時には思わず声が出ちゃいました(笑))
さて、今回のこの劇場版仮面ライダージオウ Over”Quartzer”について感想を述べながら、この仮面ライダージオウという作品自体の考察も述べていこうと思います。
あらすじを述べる前に
さて、いきなり映画のあらすじを述べても仮面ライダージオウを知らない人にはちんぷんかんぷんだと思うので、テレビで放送されていた「仮面ライダージオウ」のあらすじもサラっとご紹介しようと思います。
主人公である「常磐ソウゴ」(演:奥野壮)は、おじさんである「常磐順一郎」(演:生瀬勝久)が営む時計屋の「クジゴジ堂」で居候している一見普通の高校生。でも彼は「王様になる」というかなりぶっ飛んだ夢を持つ。ある日、登校中に謎の時計のようなアイテムを拾うと、突如空から巨大なタイムマシンである「タイムマジーン」に乗って未来から「明光院ゲイツ」(演:押田岳)という青年が現れ、ソウゴを追いかける。そしてその窮地を助けた同じく未来から来たという謎の女性「ツクヨミ」(演:大幡しえり)から、「2068年。常磐ソウゴは最低最悪の魔王『オーマジオウ』になる。私たちはその歴史を変えるためにこの時代に来た。」と告げられる。そして街では「アナザーライダー」という怪物が突如出現し、街を破壊し尽くしていた。未来のソウゴの従者と名乗る「ウォズ」という人物から変身ベルトの「ジクウドライバー」を受け取ると、拾った時計のアイテムが「ジオウライドウォッチ」へと変化する。
「俺は、魔王になる。けど最低最悪の魔王じゃない。最高最善の魔王になってみせる!」
そう決意し、ソウゴはついに「仮面ライダージオウ」と変身し、魔王への覇道を歩んでいく…
拙い文章ですが、だいたいこんな感じです。主人公が諸悪の根源であることが前提として始まるというなかなか斬新なストーリーの中、主人公のソウゴは歴代ライダー達から「ライドウォッチ」という形でライダーの力を受け継ぎ、着々と力をつけていきます。
そんな仮面ライダージオウの「終章」とも言えるものが、今回の劇場版 Over”Quartzer”です。
ここから映画本編のあらすじを紹介していきます。
あらすじ(ネタバレなし)
ある日、長篠の戦いの屏風絵に何故かゲイツとタイムマジーンが現れるという事件が起きます。。そのニュースをクジゴジ堂で見ていたソウゴ達は、歴史に異変が起きていることを察知します。
その時、テレビに突如「クリム・スタインベルト」(演:クリス・ペプラー)と名乗る人物が現れ、ソウゴたちに助けを求めます。手がかりを求めてクリムの家の跡地へ向かったソウゴたちの前に、同じくクリムを助けるために行動していた、仮面ライダーマッハの詩島剛(演:稲葉友)が現れます。クリム邸の地下室でホログラムとして現れたクリムは「何者かが自身の祖先を殺して歴史を改変したため、仮面ライダードライブの歴史が消えかかっている」と助けを求めます。
そこにジョウゲン(演:斉藤秀翼)と名乗る謎の男が現れ、「仮面ライダーザモナス」に変身し、ソウゴたちにに襲いかかります。
ソウゴ達は変身して対抗するも、クリム邸跡地で見つけた家宝の十字架を奪われてしまい、剛は変身能力を失ってしまいます。
このままではドライブの歴史が消されてしまう。剛の頼みを聞き入れたソウゴたちはドライブの歴史消滅を防ぐため、長篠の戦いがあった1575年へとタイムトラベルを行います…
あらすじはだいたいこんな感じです。
次からはこの映画の見所と共にジオウ世界の真実へと迫っていきます。
⚠️以下ネタバレ注意です。
映画の見どころ
この映画は「平成ライダー最後の映画」ということもあり、短い尺ながら見所が沢山あります。以下、4つに分けて要点だけ述べていきます。
①ジオウ世界の真実
この映画は仮面ライダージオウの終章とも言える作品であり、今までに語られていなかった秘密が次々と明かされます。
あらすじで出てきたジョウゲンに加え、1575年でソウゴの前に立ちはだかった仮面ライダーゾンジスことカゲン(演:パパイヤ鈴木)は自らを歴史の管理者とする「クォーツァー」(演:DA PUMP)の一員であり、なんとウォズまでもがクォーツァーの一員であることが判明します。
そしてこの映画最大の真実は、クォーツァーのトップである「常磐SOUGO」(演:ISSA)こそが真の王であり、ソウゴはただの影武者に過ぎなかったということでしょう。ちなみにISSAがラスボスということは予告時点で明かしていましたが、名前が「常磐SOUGO」であることは映画のパンフレットを見るまで分かりませんでした。当時劇場で見た人はこのあまりの衝撃に度肝を抜かれた人も多いでしょう。
②迫力のバトルシーン
映画ということもあり、バトルシーンは普段より数段豪華です。個人的にはvsゾンジス戦でゲイツとウォズがライダーキックを決めたあと、ジオウの「キングギリギリスラッシュ」を文字通りギリギリで避けるシーンが最高にカッコよかったです。
また、最終決戦で全平成主人公ライダーが集結するシーンも圧巻ものでした。最終決戦で平成ライダーたちが次々と最強フォームへと変身するシーンは鳥肌モノでしたね。
また、恒例の新ライダー先行登場で、現在放送中の「仮面ライダーゼロワン」の戦闘シーンも相当手が込んでいました。文面ではなかなか伝えきれないので、詳しくは映画を見てください(笑)
③最強のラスボスvs最強のライダー
長らく「最強ライダーは誰だ」という特撮ファン間での議論がなんとこの映画であっけなく終わってしまいます。
SOUGOの変身する「仮面ライダーバールクス」は問答無用で最強ラスボスとしての称号をかっさらっていきました。過去の平成ライダーを一度に数体も召喚できるジオウの最強形態である「グランドジオウ」を完封する戦闘力を誇り、更に特撮ファンの中では最強ライダーの一角として数えられる「仮面ライダーBRACK RX」の力が使えるライドウォッチを所持しており、最終決戦では「バイオライダー」のウォッチとゾンジスから借りた(奪った)「仮面ライダーJ」のウォッチを使い、巨大化×ゲル化というチートぶりを発揮しますが、最後は全平成ライダーのライダーキックに敗れてしまいます。
そして今作のジオウの新フォーム「仮面ライダージオウ オーマフォーム」は、本編を通してほとんど誰も歯が立たなかった「オーマジオウ」の力を継承しており、敵の部下である「カッシーン」の大群(一体一体は普通の怪人並の強さ)を手も触れずに一掃してしまいます。
また、対象のみの時間を操れるというチートな特殊能力を所持しており、巨大なロボをこれまた一切触れずに、手をかざして一気に錆びさせてしまいます。
平成の最後にふさわしいぶっ飛んだラスボスとぶっ飛んだ新フォームの無双っぷりも見どころのひとつです。
④ジオウお得意のビックサプライズ
さて、冒頭でも紹介した通り、やはり仮面ライダージオウ最大の楽しみといえば、オリキャスです。前作の「仮面ライダー平成ジュネレーションズForever」では、なんと仮面ライダー電王の野上良太郎(演:佐藤健)がわずかな時間ですが登場し、特撮ファンのみならず佐藤健ファンまでもが大騒ぎの状態となりました。
今作が発表された時点で、ネットでは様々な憶測が飛び交いました。やはりいちばん多かったのは仮面ライダードライブの泊進ノ介(演:竹内涼真)の出演でした。さて、実際のところは…
なんと、仮面ノリダーの木梨猛(演:とんねるず木梨憲武)でした。私が覚えている限り予想で当てた人は誰一人としていませんでした(笑)。公開初日のあさイチに見に行った私を含め、会場の大人ファンたちはみんな笑っていました。
そして子供はみんなチンプンカンプンな状況でした(無理もないわ)
そしてラストバトル。ウォズの「平成ライダーが溢れだしている!」のセリフで平成ライダーが集結して戦闘するシーン。そこではまさかのライダーたちまで集結します。
平成と令和にまたいで配信された平成最後且つ令和最初の仮面ライダーである、「仮面ライダーブレン」。仮面ライダー初の舞台作品である「仮面ライダー斬月」から、「仮面ライダー斬月 カチドキアームズ」が、初のスクリーンデビュー。「超ヒーロー対戦」にて登場した「仮面戦隊ゴライダー」。そして、テレビ朝日開局50周年記念番組『50時間テレビ』第2夜の『SmaSTATION!! Presents SMAPがんばりますっ!!』にて、東映全面協力の元制作された幻の仮面ライダーである、「仮面ライダーG」(さすがに変身者である吾郎(演:SMAPの稲垣吾郎)は出ませんでした)が、10年越しに登場。更には2次元から「漫画版仮面ライダークウガ」まで登場。
何が何だか見てた私もよく分からないくらい予想不可のサプライズの連続で、特撮ファンを、大いに楽しませてくれました。
他にも見所は沢山あるのですが、とりあえずこのくらいにしておきましょう。
ジオウ本編との繋がりは?
この映画は仮面ライダージオウの最後の物語として位置づけられているのですが、そこに関しては疑問点があります。
本編最終回では、主人公のソウゴがオーマジオウに覚醒し、世界を作り直してしまいます。その世界では、ソウゴたちは仮面ライダーとしての記憶の一切をなくし、未来から来たはずのツクヨミやゲイツ、そして敵対していたタイムジャッカーまでもが、ソウゴと同じ高校に通っています。
しかし、映画ではソウゴたちは仮面ライダーとしての記憶がある状態で始まります。そして、タイムジャッカーが一切登場しません。
このことから本編とは別ルートであることが推測できます。
しかし、全く本編と関係ないということは無いようです。なぜならソウゴが平成ライダーのライドウォッチは継承しているからです。
私が見つけた本編との大きな違いは「ドライブウォッチを正式に継承してるか否か」です。本編ではドライブ編はあったものの、ソウゴはドライブウォッチを継承せず、ゲイツが未来のオーマジオウから奪ったドライブウォッチでグランドジオウウォッチを生成しています。
そして、本編と明確な繋がりを見せるVシネマ「仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ」でも、ソウゴ、ツクヨミは記憶を取り戻すことなく終わってしまいます。
このことから、この「Over”Quartzer”」の話は、仮面ライダージオウにおける1つの分岐エンドなのではないかと予想できます。
しかし、クォーツァーの存在やソウゴが実は影武者であったことなど、この映画ではジオウ世界においては欠かすことの出来ない真実が明かされます。
あくまで私の予想ですが、この「Over”Quartzer”」はジオウの分岐エンド、というよりは、ジオウの「トゥルーエンド」なのではないかと推測しています。
このジオウという作品自体、なかなか濃密な物語で、本編、映画、Vシネマでも語り尽くせない秘密がまだまだ沢山あるのではないかと考えています。
このように、この映画を見て、仮面ライダージオウという作品を考察することもひとつの醍醐味かもしれませんね。
終わりに
さて、これまでこの映画について色々と述べてきましたが、この映画が果たしてどのような意味を持つのか、私なりに考えました。
ズバリ。「平成の最終回」です。
仮面ライダージオウだけでなく、「平成」という時代を生きた仮面ライダー、そして一緒に歩んだ私たち一人一人に向けてのひとつの区切りの物語であったと思います。
これからも仮面ライダーシリーズは続いていきますが、「平成仮面ライダーの物語」は、この映画で一旦終わりを告げます。
それはひとつの時代の終わりであり、同時に新たな時代の始まりを意味します。
映画の最後では、生きていた仮面ライダーゾンジスを、令和の1号ライダー、仮面ライダーゼロワンが倒し、「始まったなぁ〜。俺の時代が!!」と、新時代の到来を堂々と宣言します。
仮面ライダーシリーズにおけるひとつの時代の終わり、そして新たな時代の始まりを意味するこの作品は、仮面ライダーファンとして見逃す訳には行かない作品だと思います。
そして現在、この映画はU-NEXTにて視聴することが可能です。その他、他の仮面ライダー作品の名作も視聴することが出来るので、ぜひ登録してみてください
それではこの辺で終わりにしようと思います。
拙い文章でしたが、読んでくださりありがとうございました。